研究情報

東京科学大、光触媒開発の常識を覆し「人工光合成」研究推進する前田教授を紹介(2025.1)

 東京科学大学(東京工業大学と東京医科歯科大学が2024年10月に統合)は”Science Tokyo Faces”と題した情報発信をスタートし、理学院 化学系の前田和彦教授の研究を紹介した。

 植物が行う光合成を人工的に実現する「人工光合成」の研究開発が加速している。特に日本はこの分野において、1967年に本多健一氏(東京大学名誉教授)と藤嶋昭氏(東京大学特別栄誉教授、東京理科大学栄誉教授)が発見した「本多・藤嶋効果」をきっかけに、世界のフロントランナーとして走り続けてきた。このような中、常識や先入観にとらわれず効率の高い光触媒開発の研究に取り組んでいるのが、理学院 化学系の前田和彦教授である。国際的な学術論文データベースを展開する英国クラリベイト社より、研究論文の重要性を示す指標である高被引用論文の著者として、化学分野で2018年から4年連続して選ばれ、世界中から大きな注目を集めている。

 「人工光合成」とは、植物や藻類が行う「光合成」の起源は約35億年前にさかのぼると推測されている。光合成とは、太陽光のエネルギーを使って、水とCO2から酸素と糖やデンプンなどの有機物を生成する機能(化学反応)のことをいう。

 この反応を人工的に行うことができれば、地球上に無尽蔵に降り注ぐ太陽光を使って水から水素を生成したり、地球温暖化の原因の1つとなっているCO2を有用な炭化水素に変換したりすることができ、炭素循環社会の実現に貢献できる。このような光合成を人工的に行う技術を「人工光合成」という。

「私が大学3年生だった2001年に、人工光合成研究の第一人者である当時東京工業大学の堂免一成先生(現・信州大学特別特任教授、東京大学特別教授、東京科学大学名誉教授)の講演を聞き、『人工光合成を実現できれば、世界の環境問題を解決できる!』と胸をはずませ、この分野の研究者になる決意をした。とはいえ、植物が35億年にわたる進化の歴史の中で獲得した素晴らしい機能を実現しようというのですから並大抵なことではない。しかし、鳥の飛行能力を飛行機が一気に超えたように、人工光合成が、植物の光合成の機能を超えることは可能であると私は信じている」と前田教授は語る。

詳しくは、→https://www.isct.ac.jp/ja/news/wp85hkefdgqs

2025-01-22 | Posted in 研究情報 |