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三菱重工、ArcelorMittalのベルギー・ゲント製鉄所で実証試験用CO2回収装置設置、稼働開始(2024.5)
欧州・米州最大の製鐵事業者のアルセロール・ミタル(ArcelorMittal)と三菱重工業㈱、BHP、Mitsubishi Development Pty Ltd(MDP)は、アルセロール・ミタルがベルギーのゲントに保有する製鉄所の高炉にCO2回収装置を設置し、実証試験を開始した。
このたび設置したCO2回収装置は、CO2回収技術の本格的な導入に向けた実証試験を目的としてゲント製鉄所で1~2年間稼働する予定で、本年1月からベルギー現地で組立作業が行われ、このほど本格稼働したもの。同技術を実装することで、ゲント製鉄所から排出されるCO2の大半を回収できる見込みである。
4社は、アルセロール・ミタルのゲント製鉄所をはじめとする複数のCO2排出源において、三菱重工が関西電力㈱と共同開発したCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」を用いた複数年にわたる共同実証試験を行うことを2022年10月に発表した。この共同実証試験では、まず高炉ガスと圧延再加熱炉排ガスからのCO2回収を行い、将来的に直接還元製鉄(DRI:Direct Reduced Iron)設備のリフォーマー排ガスでの実施も計画されている。
ゲント製鉄所でのCO2回収ソリューションの実証試験は、北海地域で開発されているCO2輸送・貯留プロジェクトと連動することで、鉄鋼製品の脱炭素化に向けた技術ソリューションのグローバルな適用に寄与することが期待されている。また、EUはネットゼロ産業法の下に2030年までに年間5,000万トンのCO2貯留能力を確保する目標を掲げ、国際エネルギー機関(IEA)はネットゼロ排出シナリオにおいて、年間3億9,900万トンのCO2量に相当する37%以上の一次精錬に対し、2050年までにCCUS技術を適用する必要があると推測している。
アルセロール・ミタルと三菱重工は本実証試験において、CO2回収技術が製鉄プラント向けに効果的であることを実証の上、実装に向けての最適化設計検討を行う。また、BHPとMDPはアルセロール・ミタルの欧州事業向けに高品質な製鉄原料を供給する主要サプライヤーとして、本実証試験に資金を提供する。
詳しくは、→https://www.mhi.com/jp/news/24052102.html