研究情報

ジャパン・リニューアブル・エナジー、セルロース等を活用した藻場造成実証を千葉県で開始(2023.11)

 ジャパン・リニューアブル・エナジー㈱(JRE)(東京都港区)は、全国の海域で問題になっている磯焼け(藻場の減少)対策への取り組みの一環として、北海道のコンブ場で実績のあるセルロース等のポリマー溶液を活用した藻場造成手法が藻場再生に有効と考え、本手法の実証を北海道以外の海域で初めて、千葉県の内房で開始した。

 本手法は、国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 四ツ倉教授が中心となってこれまで研究を進めてきた手法で、コンブ類の遊走子(子孫を残すための胞子)をセルロース等の粘弾性ポリマー溶液と混合させて海中に散布することで、海中において胞子が飛散しにくい状態のまま海底面に運ぶことを可能とするもの。これにより、特定の狙った範囲において効率的にコンブ類の海藻を着生・増殖させることができるようになり、実際に、北海道内での藻場造成において本手法は成果を上げている。

 今般、ジャパン・リニューアブル・エナジー㈱は、自社施設にて本手法の先行試験実績のある岡部㈱(東京都墨田区)とともに、千葉県の内房において、コンブ目のカジメの遊走子を混ぜたセルロース成分のポリマー溶液の散布を行った。(セルロースは天然成分由来の原料であり、環境への負荷も小さく、低コスト且つ特殊技術も不要)今後、経過観察により本手法の効果・課題につき検証を行い、さらには、日本全国の海域での本手法の適用について検討していく考えだ。 

 昨今、全国各地において海水温の上昇や「磯焼け」と呼ばれる藻場の減少により、水産資源の減少やそれに伴う漁業活動への影響が大きな問題となっている。そのため洋上風力発電の事業開発を行うJREとしても海洋環境の改善に貢献すべく様々な取り組みを検討しており、その中の一つとして本実証を行うこととなった。本実証を通じて藻場が造成されることで、海洋環境の改善や漁業資源の回復につながるとともに、海中でCO2を吸収するブルーカーボンが創出される。JREは、将来的にはブルーカーボン・クレジットの認証取得も視野に入れ、洋上風力発電事業と地域への貢献、海からの地球温暖化防止に寄与することを目指している。

詳しくは、→https://www.jre.co.jp/news/pdf/news_20231128.pdf                                          https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000018452.html

2023-11-29 | Posted in 研究情報 |