研究情報
農業DXのAGRI SMILE社、残渣型バイオスティミュラントで環境保全推進の脱炭素地域づくり協議会(Eco-LAB)設立。(2023.9)
農業DXやバイオスティミュラント開発のスタートアップ企業、AGRI SMILE社は、9月7日、農業協同組合、製造企業、金融機関などの多数のステークホルダーの参画を得て、AGRI SMILEが代表を務める「バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会(Expert COuncil for Low carbon Agriculture in Biostimulant technology、:Eco-LAB)」を設立したと発表した。
Eco-LABは、農業産地のニーズに対応したバイオスティミュラントの適切な活用を支援するとともに、カーボンクレジット取引の促進を目指していく。
昨今、温暖化や異常気象に対し、農作物の被害が甚大であり、気象変動に負けない栽培技術の確立と、環境と調和のとれた農法が求められている。食料生産を支える化学肥料・化学農薬は、農作物の適した環境に短期間で整備できるため、栽培に欠かせない。一方で、GHGを排出する要因でもあるため、使用量の低減・適正化の取り組みが必要不可欠だ。また、世界情勢の影響を受けて肥料価格が高騰しているため、輸入の化学肥料に多くを頼る日本の農業産地では、化学肥料の使用量を低減しながら生産力を維持するイノベーションが喫緊の課題となっている。
このような状況を踏まえて、政府は、農業の持続的発展と地球環境の両立に向けて、2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定した。本戦略は、具体的な取り組みの一つとしてバイオスティミュラントの活用を挙げている。
バイオスティミュラントは、政府の地球温暖化対策『GX戦略・みどりの食料システム戦略』にも掲げられている農業生産資材であり、植物本来の機能を引き出すことで環境ストレスを緩和させる特長を持ち、収量や品質の向上効果で注目されている新しい農業資材だ。収量や品質の効果が見込めるため、化学肥料の使用量低減を実現する手段として期待されている。
このうち、食品残渣を原料として開発されたバイオスティミュラント(残渣型バイオスティミュラント)は、フードサプライチェーンの食品廃棄問題を解決しながら、農業生産量の拡大や化学肥料の使用量低減に寄与できるため、脱炭素社会の実現と、環境保全型農業の実現が両立できる画期的な生産技術である。
EUでは、2022年7月に「欧州肥料規則」でバイオスティミュラントを定義化し、EC圏販売するには、バイオスティミュラント商品にEU加盟国基準証明である「CEマーク」の取得を義務付けている。
こうした中、Eco-LABでは、日本の農業産地がバイオスティミュラントを活用しやすい環境づくりを行い、食品残渣を活用したバイオスティミュラントの社会実装を図ることを目的に、設立した。
Eco-LABは、3つのコンソーシアムから構成されており、各コンソーシアムの活動を通じて、地域を巻き込んだ脱炭素の取り組みを推進していく。
●食品残渣BS開発コンソーシアム
●BS栽培検証コンソーシアム
●炭素クレジットコンソーシアム
詳しくは、→https://agri-smile.com/news/eco-lab/ →https://eco-lab.gr.jp/