研究情報

理研、酵素活性を最大化する理論的条件を発見。食品、医薬、バイオ燃料等の酵素開発に貢献(2023.8)

 理化学研究所(理研)研究チームは、酵素反応の速度を最大化するための理論的な条件を発見したと発表した。
 酵素とは、タンパク質のうち、特定の化学反応を加速する機能があるものを指す。酵素から得られる反応速度の大きさを酵素活性と呼び、活性を最大限に引き出す方法を明らかにすることは工学的にも基礎科学的にも重要な課題だ。
 今回、研究チームは、酵素活性を表す数式を独自に開発し、どのような条件で活性が最大となるかを数学的に解析した。その結果、酵素と基質の親和性を表すミカエリス・メンテン定数(Km)が基質濃度([S])と等しいときに酵素活性が最大化される、ということを理論的に導き出した。また、天然酵素のKmとその基質の細胞内濃度が相関することから、この酵素活性最大化の法則は自然界でも当てはまることが示唆された。人工触媒分野では、活性向上に向けて触媒と基質の親和性を調節することが古くから行われてきた。本研究の成果によれば、生体触媒である天然酵素においても、親和性の最適化による活性向上が可能であると考えられる。

本研究成果は、食品加工や医薬品合成、バイオ燃料生産に向けた酵素の開発に貢献すると期待できる。

詳しくは、→https://www.riken.jp/press/2023/20230824_1/index.html

2023-08-27 | Posted in 研究情報 |