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米国環境保護庁、気候危機や健康被害対策として、化石燃料火力発電所の新炭素汚染基準提案(2023.5)

 米国環境保護庁(EPA:The U.S. Environmental Protection Agency)は、気候危機への取り組み、健康被害対策として、化石燃料火力発電所に対する新たな炭素汚染基準を提案した。                                        

 石炭火力や新たな天然ガス火力発電所に対して提案された基準は、2042年までに6億トン以上のCO2汚染を回避するとしており、これは、米国の乗用車の約半分に当たる 1 億 3,700 万台の乗用車の年間排出量を削減することに相当する。また、この提案は、人間の健康を危険にさらすことが知られている有害な大気汚染物質である粒子状物質(PM2.5)、二酸化硫黄、窒素酸化物を何万トンも削減することになると推定している。

 今回の提案は、大気浄化法に基づいて汚染基準を確立するという同庁の従来のアプローチと一致するものであるが、炭素汚染の野心的な削減が必要となるとしている。発電所の所有者と運営者に十分なリードタイムと実質的なコンプライアンスの柔軟性を提供し、電力会社と送電網運営者が適切な長期計画と投資決定を行うことを可能にし、電力部門が信頼性が高く手頃な価格の電力を供給し続ける能力をサポートする。同庁の分析では、電力会社は過去の変動の範囲内で電気料金への影響がない範囲で基準を導入できるとしている。

 米国環境保護庁が提案しているテクノロジーベースの標準には次のものが含まれる。
●新設の化石燃料焚き定置燃焼タービン(通常は天然ガス焚き)に対する現行のNew Source Performance Standards(NSPS)強化
●既存の化石燃料焚き蒸気発生装置(石炭、石油、天然ガス焚きユニットを含む)からの炭素汚染を制限するために各州が従うべき排出ガイドライン確立
●頻繁に使用される大型の既存の化石燃料焚き定置燃焼タービン(通常は天然ガス焚き)の排出ガイドライン確立
 同庁の分析に基づくと、同庁は既存のガス火力発電所に対する提案された基準とNSPSの新基準では最大4億700万トンのCO2 排出削減を達成できると予測しており、ルール策定の最終決定に向けて取り組んでいる。

 大気浄化法の第 111 条で義務付けられているように、これらの提案された基準と排出ガイドラインは、コスト、エネルギー要件などを考慮して、発生源の排出パフォーマンスを改善することが実証されている最良の排出削減システム(BSER)を反映している。また提案された炭素汚染基準を策定するにあたり、同庁は CCS、低GHG水素の利用、高効率の発電技術の導入などの一連の技術を基本としている。 

 同庁は、連邦公報に掲載されてから 60 日間、これらの提案についてコメントを受け付け、バーチャル公聴会を開催し、ウェブサイトで追加情報を公開する予定としている。

詳しくは、→https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-new-carbon-pollution-standards-fossil-fuel-fired-power-plants-tackle

 

2023-05-15 | Posted in ニュース情報/政策関連 |