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日本自然保護協会、大型陸上風力発電計画の立地傾向を解析。森林生態系の危機的状況に意見(2022.10)
公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)は、自然環境に配慮した立地での再生可能エネルギーの推進を提唱している。近年、全国の会員・サポーターから、貴重な自然を有する森林での大型陸上風力発電事業(陸上風発)計画に関する相談が急増していた。そこで、今回、NACS-Jは全国での傾向を把握するべく、法アセス対象の大型陸上風力発電事業の自然環境面の立地解析を行った。
<主な内容> ■日本自然保護協会は、全国で計画されている287件の陸上風力発電事業の自然環境面の立地の解析を行い、森林生態系への深刻な影響を明らかにした。 ■計画のうち、50%以上が原生林に近い森林を、約25~50%がイヌワシ・クマタカの生息域を建設予定地に含めていた。 ■環境アセス書の一般への常時公開は全体の5.7%に過ぎず、情報公開の問題点が明らかとなった。
解析結果を受け、同協会では下記の意見を発表した。
再生可能エネルギーの推進は国の政策であるが、陸上風力発電事業の場合、どこに建設するかは事業者任せになっている。そのため、風況、送電網への接続、土地賃借の容易さなど経済的採算性が最優先になり、これに騒音などの住環境への影響、国立公園などの法的条件を考慮して立地選定が行われている。その結果として、自然環境への配慮は優先度が極めて低くなってしまい、陸上風力発電事業の一部は自然環境に致命的な影響を及ぼしうる計画となってしまっている。
陸上風力発電事業の計画に当たっては、まず、植生や猛禽類など自然環境に配慮した立地選定を行わなければ、たとえ2050年にカーボンニュートラルが達成できたとしても、2050年には日本の自然環境が取り返しのつかない状況になりかねない。NACS-Jは、今後も、重要な自然環境へ多大な影響を及ぼすと予測される陸上風発計画に対し、計画の初期段階でアセス書を精査し、改善を求め意見していくとしている。
詳しくは、→https://www.nacsj.or.jp/media/2022/10/32402/ 関連情報→https://www.nacsj.or.jp/2022/10/32585/