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王子HD、国内社有林の経済価値評価の結果(年間約5,500億円)と定量化プロジェクト発表。(2024.9)
王子ホールディングス㈱は、この度、同社の国内社有林の経済価値評価を実施した。その結果とさらなる定量化プロジェクトの実施について発表した。
同社は、「木を使うものは木を植える義務がある」という理念のもと、100年以上の長きにわたり、植林によるサステナブルな森林経営を実践してきた。また、国内民間企業で最大級である、東京都の約3倍の大きさの森林を保有(国内外合わせて約63.5万ha)し、その社有林を「王子の森」と呼んでいる。
近年、TNFD提言をはじめ、企業活動による自然への依存とインパクト、それらに起因するリスクと機会を評価し、その情報を開示することが求められているだけでなく、森林、土壌、水、大気、生物資源などの自然資本を経済価値としてとらえた自然資本会計の制度化の動きも始まっている。森林は木材生産だけでなく、生物多様性や土砂流出防止、水源涵養といった多様な価値を持っている。同社が林野庁「森林の公益的機能の評価額について」の手法をもとに、国内の「王子の森(約18.8万ha)」について、経済価値を算出したところ、価値総額が年間約5,500億円という結果となった。
さらに各種データ解析の結果、水源涵養量は約510万㎥で、1日当たり1,690万人分の生活用水を蓄え、作り出す能力に相当していることがわかり、生物が3,000種以上(うち希少種は約1,400種)生息していることが推定された。
特に、北海道猿払村の「王子の森」は、世界の北方林の南限に位置し、泥炭が蓄積する湿地帯を有し、絶滅危惧種の淡水魚イトウが生息するなど、生物多様性の重要度が高いと推定されることから、北海道大学や生物多様性可視化の技術を有するスタートアップと協働し、自然資本の価値を測り、定量的に評価するプロジェクトを開始している。自然資本会計の時代へ向け、これからも、ネイチャーポジティブ経営を進化させていく考えだ。
詳しくは、→https://www.ojiholdings.co.jp/news/?itemid=2040&dispmid=1199&TabModule958=0