研究情報
不二製油G本社と新潟薬科大学、油脂酵母からのパーム油代替油脂を世界最高レベル生産実現(2022.10)
NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」プロジェクトで、不二製油グループ本社(株)と新潟薬科大学は共同で、脱炭素社会実現に向けて、油脂高蓄積酵母による油脂生産の研究を行っている。このたび、本プロジェクトにおいて、産業用スマートセルの発酵培養により得られた油脂酵母からパーム油の代替油脂を培養液1L当たり98gという世界トップレベルの生産量を6日間で実現した。供給不足が懸念される油糧作物の代替生産技術として、低環境負荷な油脂の安定供給システムが実現することにより、持続可能な脱炭素社会の実現への貢献が期待できる。
植物や微生物などの生物を用いて物質を生産する技術(バイオものづくり)は、従来の化学プロセスに比べ、省エネルギーであるとともに、原料を化石資源に依存しないバイオマスから生産できるため、炭素循環型社会の実現や持続的経済成長に導くものづくりへの変革を期待できる。一方で、菌株の選抜・育種、培養条件の最適化、生産のスケールアップ検討など、各開発段階の連携ができていないため、バイオ製品の社会実装が停滞気味となっていることが問題になっている。
このような背景からNEDOは、2020年度から「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発(バイオものづくりプロジェクト)」を実施している。その一環で、企業主体で実際の産業用宿主(しゅくしゅ)をベースとして、遺伝子工学技術や情報科学技術を用いることで、これまで生産困難であった化合物などの生産を実現化する宿主を開発するテーマ「脂溶性化合物生産のための油脂酵母産業用スマートセル構築」を推進している。
詳しくは、→https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101581.html