研究情報
花王、パーム油代替原料供給に向け、Genomatica社、ユニリーバと米国でベンチャー設立(2022.10)
花王㈱は、パーム油由来の原料に代わる植物由来原料の商業化をめざし設立されるベンチャー企業へ、サステナブル素材のリーディングカンパニーであるGenomatica(ジェノマティカ、ブランド名:Geno)及びUnilever(ユニリーバ)と共に創立メンバーとして参画、出資したと9月29日発表した。GenoとUnileverが既に発表している1億2千万米ドル(約170億円)に追加出資した。このベンチャーは、持続可能な方法で調達されたパーム油への需要が世界的に高まる中、Genoのバイオテクノロジー技術をプラットフォームとして活用し、グローバルで6,520億ドル規模のホームケア、パーソナルケア市場におけるサプライチェーンの安定、強化を図るとともに、社会と環境に配慮し、責任をもって調達されたパーム油代替原料を市場へ供給していく。またGenoの技術は化石由来の代替原料も提供していく。初期の検討では、Genoの技術に基づく植物由来の代替原料はパーム油由来原料に比べ、最大50%のCO2排出量削減を見込んでいる。
花王の出資によりこのベンチャーは、パーム油代替原料の生産能力のさらなる拡大を図る考えで、今後数年間で1億トンの温室効果ガス削減、というGenoの目標達成にとって非常に重要な一歩となる。また、花王の130年以上にわたって培われたコンシューマープロダクツ事業およびケミカル事業での知見が加わることで、このベンチャーの世界的な展開と影響力がさらに強固なものになることが期待される。
<Genoについて>
Geno(米国カリフォルニア州サンディエゴ)は、バイオテクノロジーを活用し、現在多岐に使用されている化石由来の製品や化学品を、より地球にやさしい製品へとつくり変えている。
差し迫った気候変動危機に対応するため、Genoは過去20年間、化石原料の代わりに植物や廃棄物を原料とするサステナブルな原材料の開発とスケールアップに取り組み、化粧品、カーペット、ホームクリーナー、アパレルなどに使用される原料や素材をよりサステナブルなものへと代替している。
過去数年にわたり、Genoは、植物由来素材を用いた製品提供をめざすlululemonとのコラボレーション、Aquafilとのパートナーシップによる植物由来ナイロンの生産マイルストーン達成、サステナブルなコーティング材をねらうCovestroとの植物由来HMD生産マイルストーン達成、旭化成との植物由来ナイロン66の実用化検討など、サステナブル素材を世界的に展開し、商業化を加速していくためのインパクトの強い協業を実施してきた。
詳しくは、→https://www.kao.com/jp/corporate/news/business-finance/2022/20220929-001/及びhttps://www.genomatica.com/