研究情報
芝浦工大等研究G、微生物を利用し廃太陽光パネルからレアメタル・セレン回収に成功。世界初(2025.10)
芝浦工業大学と㈱ケー・エフ・シー(東京都港区)の研究チームは、廃太陽光パネルからセレンを含むレアメタルを溶解し、セレン酸還元微生物Stutzerimonas stutzeri NT-Iを用いて世界で初めてセレンの浄化回収再資源化に成功した。セレンはレアメタルの一種で、半導体材料や太陽光パネルに広く利用されているが、セレン酸や亜セレン酸には毒性があり、排水基準や土壌汚染に関わる環境基準値が定められており浄化の対象になっている。
一方、太陽光パネルは2000年以降から徐々に生産販売が拡大されており、自然災害や経年劣化により2030年以降に大量廃棄されると予想されている。ガラスと金属と樹脂などが強く固着された太陽光パネルは煩雑な廃棄物で、さらに、化合物系太陽電池にはヒ素、セレン、カドミウムなど有害物質を含んでおり、溶出による浸出水への影響も懸念されている。今後、太陽光パネルの排出量が増大していくことから、最終処分場の確保など大きな社会・環境問題となるため、再資源化することにより環境汚染を防ぐ必要がある。
今回、化合物系太陽電池のうち、セレンを含むCIGS(Cu, In, Ga, Se)系使用済み廃太陽光パネルからCIGSを溶解、中和後にセレン酸還元微生物S. stutzeri NT-Iと反応させて、セレンの回収再資源化に初めて成功した。今後はラボスケールからベンチスケール、最終的にはプラントレベルにスケールアップを行い、循環型社会形成の実現を目指す考えだ。
詳しくは、→https://www.shibaura-it.ac.jp/headline/detail/20251006-7070-51.html
2025-10-10 | Posted in 研究情報 |