トピックス,エネルギー編
三菱重工、バイオエタノール膜分離脱水システム開発のパイロットプラントで所期性能達成(2025.9)
三菱重工業は、バイオエタノール製造を低コスト・高効率化する膜分離脱水システム(MMDS:Mitsubishi Membrane Dehydration System)の開発に関し、同社総合研究所長崎地区の「長崎カーボンニュートラルパーク」内に設置したパイロットプラントにおいて、このたび、国内燃料規格でもある所期性能の99.5vol%以上のエタノール純度を達成した。
バイオエタノールは、ガソリン代替としてのクリーン燃料、および次世代航空機燃料であるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の原料として注目されている。燃料として使用するためには、製造工程の最終段階におけるバイオエタノール中に含まれる水分の除去(脱水)が不可欠だが、その脱水工程では、多くのエネルギーを消費するという課題がある。MMDSは、脱水工程を従来のPSA方式から「分子ふるい膜分離方式」に置き換えることで高効率化し、30%超の消費エネルギー削減により、オペレーションコストの大幅な低減と安定生産を目指すものである。加えて、MMDSは液相での分離を可能とするため、装置のコンパクト化が可能となる。
今後は、本パイロットプラントでの各種要素試験の結果を踏まえ、実証プラントを建設し、早期の市場投入に向けて開発を加速させる考えだ。

膜分離脱水システムのパイロットプラント