トピックス
インドネシアでのパーム油の搾油工程廃液由来バイオメタン活用の事業化検討へ。プルタミナ関連企業PGN、日揮HD、大阪ガス、INPEX(2023.9)
インドネシア国営石油会社プルタミナの子会社で天然ガス供給事業を手掛けるPT Perusahaan Gas Negara Tbk(PGN)、日揮ホールディングス㈱(日揮HD)、大阪ガス㈱および㈱INPEXの4社は、このたびインドネシアにおけるパームオイルの搾油工程で生じる廃液(POME:Palm Oil Mill Effluent)由来のバイオメタン活用の事業化に向けた詳細検討を開始することとなったと発表した。
これまで、プルタミナ、日揮HD、大阪ガスおよびINPEXの4社はPOME由来のバイオメタン活用に向けた共同調査を進めてきたが、今般、PGNが保有する天然ガス導管の利用が決定し、またパーム農園との原料調達に係る覚書の締結や需要家からの関心表明を得たことから、詳細検討の開始に至った。本検討においては、2025年のスマトラ島南部でのバイオメタン製造開始を目指し、サプライチェーン構築やバイオメタン製造・供給に関する技術的な検討を行う。 インドネシアは、世界最大のパームオイル生産国であると同時に世界最大の輸出国です。同国ではパームオイル産業が約300万人の雇用を支え、GDPの4.5%を占める重要な産業である一方、有機分を多く含むPOMEからはCO2の25倍の温室効果を持つとされるメタンガスが大量に発生し、その多くが大気放散されているという課題がある。 本事業は、現状POMEから大気放散されているメタンガスを回収したうえでバイオメタンとして精製し、天然ガス導管など既存インフラを利用してインドネシア国内の需要家に供給することで、メタンガスの大気放散を抑制し、さらに同国で増加する天然ガス需要に応えるとともに、化石燃料からバイオメタンへの燃料転換による需要家のCO2排出量の削減を目標としている。将来的にはスマトラ島全域、さらにカリマンタン島へと事業規模を拡大しながら、バイオメタンを液化したバイオLNGを船舶燃料として供給する事業やバイオLNGを日本などに輸出する事業の可能性についても検討予定だ。
なお、本事業は2023年3月に開催された「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」においても、アジア地域のカーボンニュートラル化に資する取り組みの一つとして紹介された。 PGNは、プルタミナ傘下のガス事業会社として、インドネシアが2060年までに掲げるネットゼロエミッション(NZE)を実現するエネルギー転換フェーズにおいて重要な役割を担っている。本事業は、POMEを環境に優しいエネルギーとして利用することで、新エネルギー/再生可能エネルギー(New and Renewable Energy/NRE)の開発と並んで環境問題の解決に資するものと考えられる。本事業において、PGNは原料のPOMEにアクセスが良好な導管注入設備および天然ガス導管を提供する。また、製造されるバイオメタンはインドネシアの工業需要や一般消費者の需要に応えるだけでなく、プルタミナの天然ガスネットワークの一層の拡大につながることが期待される。 日揮グループは、これまでインドネシアにおいて、液化天然ガス(LNG)などのプラント建設に関する長年の実績を有しており、数多くのプロジェクト遂行で培ってきたプロジェクトマネジメント力を活かしつつ、参加各社とともに本事業の実現に貢献していく。 大阪ガスは、Daigasグループのバイオメタン製造に資するバイオガス精製技術やバイオメタンの導管注入実績、これまでのガス販売活動で培った知見を活用しながら、現地の天然ガス事業者PGNをはじめとした参加各社とともに、インドネシアにおけるバイオメタンの普及拡大とインドネシア、ならびに日本のCO2排出量削減に貢献していく。 INPEXは、参加各社と協力し、気候変動対応に資する事業の構築と、インドネシアにおけるクリーンエネルギー供給に向けた取り組みを推進していく。
詳しくは、→https://www.jgc.com/jp/news/assets/pdf/20230925j.pdf