研究情報

京都大等研究G、ダイズ根圏へイソフラボン供給量を増やす酵素発見。代謝物分泌メカニズム解明へ(2023.2)

 京都大学等の研究グループは、ダイズの根に存在する酵素の働きが、ダイズ根圏へのイソフラボン類の分泌に関与していることを明らかにしたと発表した。イソフラボン類は、豆腐や味噌などのダイズ食品に含まれている、身近な植物が生産する代謝物だ。ダイズの植物体にとってのイソフラボン類は、窒素栄養の少ない土壌で窒素固定をする根粒菌と共生したり、病原菌から身を守ったりするなど、自然環境を生き抜くために必要な物質であることが知られている。しかし、ダイズの細胞の中で生産されるイソフラボン類が、実際に機能する根の外側の土壌領域(=根圏)までどのように運ばれるのかについてはこれまで十分に明らかにされていなかった。
 一般に、ダイズの根の細胞の中では、大部分のイソフラボン類は配糖体として存在することが知られている。本研究では、このイソフラボン配糖体を根圏で機能する形態である非配糖体に変換する酵素に着目し、その機能を失った変異体を用いて実験を行った。ダイズのイソフラボン類だけでなく、多くの植物が多様な代謝物を根外へ分泌している。本研究成果は、植物が細胞内で生産した代謝物を根外へ分泌するメカニズムの一端を明らかにしたものであり、植物根圏で機能する有用物質を農業へ活用する研究につなげたいとした。

詳しくは、→https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-02-10

 

2023-02-11 | Posted in 研究情報 |