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川崎重工、神戸工場に商用ベースCO2分離回収実証設備が完成。回収事業を加速(2025.11)
2025年11月12日、川崎重工業㈱は、独自のCO2分離回収技術 Kawasaki CO2 Capture(KCC)を適用した商用ベースの実証設備を神戸工場(兵庫県神戸市)に完成させたと発表した。
本設備は、大気中のCO2を回収する Direct Air Capture(DAC) 設備と、神戸工場内の自家発電設備の排ガスからCO2を回収する Post-Combustion Capture(PCC)設備の2種類で構成されている。DAC設備は、大気中のCO2回収を目的としており、PCC設備は、化石燃料を使用する設備からのCO2排出量の低減を目指した製品である。これらの実証を通じて、KCC技術の高度化と大規模展開に向けた技術検証を進め、CO2回収事業の展開を加速させていく。
KCCは、同社が潜水艦や宇宙ステーション向けに培ってきたCO2除去技術をベースに、排ガスや大気からのCO2分離回収に応用したものである。独自のアミン吸着剤を採用した省エネルギー型の回収方式により、60℃という低温でのCO2脱離を可能にし、工場内の未利用熱を活用することで、エネルギー利用効率の向上と環境負荷の低減を実現する。
今回完成した実証設備の特長は、以下のとおり
■DAC設備
大気からCO2を回収するDAC設備は、将来の大型化に対応可能なモジュール型設計を採用した、国内最大級の実証設備となる。
■PCC設備
神戸工場内の当社製高効率ガスエンジン発電所から排出される低濃度CO2排ガスを対象とした回収設備。KCCを分散型天然ガス発電設備に適用するのは今回が初めてであり、工場の自家発電設備など、多様な排出源への展開が期待される。
両設備は、これまでに日本国内(舞鶴市)および米国(ワイオミング州)の石炭火力発電プラント等において実施してきた実証成果を活かして設計・構築されている。
国際エネルギー機関(IEA)の「Net Zero by 2050」ロードマップでは、排ガスからのCO2回収技術は、既存インフラを活用した即効性のある排出削減技術として、DACは残余排出への対応やネガティブエミッションの実現に不可欠な技術として、それぞれ重要な役割を担うと位置づけられている。

神戸工場に整備したCO₂分離回収技術の実証設備
詳しくは、→https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20251112_1.html
