トピックス,エネルギー編
積水化学と米・Velocys、CO2由来合成燃料(e-SAF)の製造技術構築に向け戦略的提携(2025.8)
積水化学工業㈱と米国のVelocys Inc.は、CO2を原料とした合成燃料(e-SAF:electro-Sustainable Aviation Fuel)の製造技術構築向けた戦略的提携のため、基本合意書(MoU)を締結したと発表した。積水化学のCO2→COケミカルルーピング技術と、Velocysのマイクロチャネル反応器を用いるFT(Fischer-Tropsch)反応技術を組み合わせる本技術が実現すれば、CO2を資源とする合成燃料の製造が可能となり、脱炭素化に貢献することが期待できる。
<背景>
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、あらゆる産業においてCO₂排出削減が求められている。なかでも航空産業は、世界のCO₂排出量の約2.6%を占めており、その対策として注目されているのがSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)です。国際エネルギー機関(IEA)などによると、航空産業のCO₂削減目標の65%はSAFの導入により達成されるべきとされている。現在主流のSAFは、廃油やバイオマス由来の原料から製造されているが、今後のSAF需要の増大を見据えると、CO2と再生可能エネルギー由来の水素から製造されるe-SAFへの早期の取組み・普及が不可欠とされている。
そのような中で、CO2を燃料や化学製品に変換して活用するCCU(Carbon dioxide Capture, Utilization)技術が注目されている。CCU技術はCO2を有価物資源として再利用、化石資源を代替することで大気へのCO2排出を抑制することを可能にするものである。
<両社の強み>
積水化学はCCU技術の社会実装による世界のCO₂排出削減を目指し、これまでにCO2を高い反応収率(90%以上)でCOに変換する独自のケミカルルーピング技術の開発を進めてきた。
一方、Velocys は、都市ごみや産業廃棄物、バイオマス、あるいはCO2から変換される合成ガス(COと水素の混合ガス)を原料として合成燃料を製造するFT反応技術の開発を20年以上にわたり進めてきており、Velocys独自の触媒とマイクロチャネル反応器の設計により、従来のFT反応技術と比べて6~10倍の高い生産性を確立している。
<連携の概要>
積水化学が独自に開発した高反応収率(90%以上)を実現するCO2→CO変換技術「ケミカルルーピング反応」と、Velocysが保有する高いCO転化率(90~95%)を実現するFT反応技術(合成ガス→合成燃料)を組み合わせた、新しいe-SAF製造技術の構築を目指す。
詳しくは、→https://www.sekisui.co.jp/news/2025/1439258_41954.htmlyajirusi →https://velocys.com/2025/08/21/sekisui-chemical-and-velocys-form-a-strategic-partnership/