トピックス,エネルギー編
独・Synhelionと独・INERATECが太陽光燃料生産の加速に向け協力拡大、覚書締結(2025.7)
太陽燃料技術の世界的リーダーであるドイツ・Synhelionと、Power-to-X 技術による合成燃料生産の世界的リーダーであるドイツ・INERATECは、欧州で太陽燃料生産を展開することを目指し、長年にわたる協力関係を深める覚書(MoU) を締結したと発表した。
この戦略的決定は、ドイツのユーリッヒにあるSynhelion社の産業規模プラントDAWNにおける両社の補完的な技術統合の成功を受けてのものである。DAWNにおいて、Synhelionは太陽熱化学プロセスを用いて合成燃料の重要な前駆体である合成ガスを生産し、その後、INERATECのフィッシャー・トロプシュ生産モジュールで合成原油(シンクルード)に変換している。DAWNプラントでの燃料生産成功を受けて、両社の技術統合はシームレスかつ効果的であることが実証され、拡張性の高い再生可能燃料ソリューションという両社の共通ビジョンをさらに強化している。
2024年夏の終わりに稼働を開始したSynhelionのDAWN施設は、期待を上回る成果を上げ、大規模運用への実現可能性を示す主要業績指標(KPI)を示した。同施設は既に1,000時間以上の稼働時間を達成しており、安定した信頼性の高いパフォーマンスを一貫して示している。稼働開始からわずか数か月で、燃料生産は施設の定格生産能力の90%で稼働しており、設計パラメータとの良好な整合性を示している。生産された合成ガスは公称品質パラメータに達し、下流の燃料合成に最適な仕様を満たしている。フィッシャー・トロプシュ合成により、高品質の合成原油とワックス留分が生成され、これらは既に精製され、適合性のある灯油、ガソリン、ディーゼル燃料と混合されている。
この成功を基に、SynhelionとINERATECは、それぞれの専門知識を結集し、欧州における共同太陽燃料プロジェクトの実現を目指している。EUの規制強化と再生可能燃料の需要拡大を背景に、このパートナーシップは持続可能な代替エネルギーの産業化に向けた競争を加速させるものであり、欧州の気候変動対策のパイオニアである2社を、その移行の中心に位置づけるものである。