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東洋紡、微生物による天然由来界面活性剤・マンノシルエリスリトールリピッドの利用分野拡大へ生産法開発(2024.2)

 東洋紡㈱は、NEDOが公募する「バイオものづくり革命推進事業」の実施予定先として採択された。これを受けて東洋紡は、NEDOの支援のもと、微生物を使って生産する天然由来の界面活性剤「マンノシルエリスリトールリピッド」(MEL)の利用分野拡大に向けた革命的生産システムの開発について、取り組みを開始したと発表した。

 界面活性剤とは、界面(物質の境の面)に作用して性質を変化させる物質の総称。親水性と親油性の両方の性質を有し、水と油を混ぜ合わせるのに役に立つことなどから、石鹸や洗剤、シャンプー、食品添加物、医薬品などの成分として幅広く使用されている。従来の界面活性剤の多くが石油由来の原料から作られるのに対し、MELは自然界に存在する微生物(酵母)を用いて植物油脂などを発酵させることにより生産する天然由来のサステナブルな界面活性剤。低炭素社会への意識が高まる中、石油由来原料による合成界面活性剤を代替するものとして注目が高まる一方で、生産コストの面から一部の化粧品原料などに使用分野が限られるなど普及に課題があった。

 同社は、2004年、新規バイオ素材の開発検討過程においてMEL の可能性に着目し、産総研と共同研究を開始。同社がバイオ事業で長年培った微生物の発酵・培養技術と、産総研の持つ界面物性の評価・構造解析の知見を融合することにより、2009 年には、業界に先駆けてMEL を活用した保湿剤向け化粧品原料「セラメーラ」の製品化を実現している。

 今後、産総研と共同でMELの生産性を向上するための高生産菌の開発や、連続培養生産およびスケールアップ技術、分離・精製・加工技術などの開発に取り組んでいく。また、植物油脂に替えて廃食油をMEL の原料とする技術開発も進めるなど、未利用資源を有効活用することで環境負荷の低減を図りながら、大幅なコストダウンを可能にする「革命的生産システムの開発」を実現し、利用分野の拡大を目指す。2025 年頃までに化学農薬の使用量を低減する農業用展着剤、牛のゲップに含まれるメタンの排出量を低減する飼料配合剤や、衛生材のコーティング剤など、付加価値の高い新規用途での展開を計画していく。

詳しくは、→https://www.toyobo.co.jp/news/2024/release_1578.html

 

 

2024-02-09 | Posted in トピックス |