研究情報
NTT、微細藻類が「いつ、どれだけCO2を吸収したか」を捉える計測技術確立。CO2吸収量向上とバイオマス生産効率化へ(2026.9)
2026年9月15日、NTT㈱は、微細藻類によるCO2吸収の時間変化を簡便かつ高精度にモニタリングできる技術を確立したと発表した。
従来の滴定法による測定値に対する相対誤差は最大約3300%であったが、本技術により最大約8%まで低減した。微細藻類によるCO2吸収量を計測・評価するには、水中でさまざまな形態の無機炭素として存在している溶存無機炭素(DIC)の変化を把握することが重要である。従来技術ではDICを正確に測定するには培養液を採取する必要があり、連続的な把握は困難でした。本技術では、CO2センサなどから得られる測定データを活用することで、測定のたびに培養液を採取することなく、DIC濃度を算出できる。これにより、微細藻類によるCO2吸収の時間変化を継続的に把握できるようになり、CO₂吸収量の向上につながる培養条件の探索・最適化を通じて、環境負荷の低減に貢献することが期待される。本成果は、2026年8月12日に国際学術誌Algal Researchに掲載された。

< 背景>
微細藻類は、光合成によってCO2などの無機炭素を利用して増殖する。微細藻類から得られるバイオマスを、飼料、燃料、化学品などの原料として活用し、従来使用されてきた原料の一部を代替することで、持続可能な生産の実現や温室効果ガス排出量の削減に貢献することが期待されている。
培養液中では、CO2は水に溶けた状態だけでなく、重炭酸イオンや炭酸イオンなどの形でも存在しており、これらを総称して溶存無機炭素(DIC)と呼ぶ。微細藻類によるCO2吸収量を評価するうえでは、CO2が水中で形を変えて存在するDIC全体の動きを把握することが重要である。
NTTはこれまで、CO2を利用して増殖する微細藻類を魚介類のエサとして活用することで、環境問題の解決と食料生産の両立をめざすコンセプトを立案し、藻類によるCO2利用効率の向上に寄与する遺伝子の特定や、育種技術に関する研究開発を進めてきた。このコンセプトの有効性の検証や、微細藻類によるCO₂吸収量の評価においては、培養中におけるDIC濃度の変化を正確に把握することが重要である。
従来技術の滴定法はDIC濃度を正確に測定できる一方で、測定のたびに培養液を採取する必要があり、さらに測定に手間と時間を要するため、連続的なデータ取得には適していなかった。また、センサデータと炭酸平衡にもとづく既存の計算方法は、連続的な算出が可能であるものの、微細藻類の培養液にそのまま適用した場合、従来の滴定法による測定値に対する相対誤差が最大約3300%に達し、DIC濃度を正確に算出することが困難でした。そこで本技術では、センサを用いて培養中のDIC濃度を正確かつ連続的に算出し、その経時変化を追跡できる新たな計測技術の確立に取り組んだ。
詳しくは、→https://group.ntt/jp/newsrelease/2026/09/15/260915a.html
