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住友商事とソニー、もみ殻由来のバイオ燃料、もみ殻シリカ等バイオ化学品製造の実証開始。新潟県胎内市で(2023.10)
住友商事㈱は、世界各地で大量に発生・廃棄されているもみ殻から、化石燃料代替エネルギーを生成すると同時に、バイオケミカルである「もみ殻シリカ」および「もみ殻活性炭」を製造する実証実験を、ソニーグループ㈱とソニー知的財産サービス㈱と共同で開始する。CO2削減量の大きいバイオエネルギーと販売単価の高いバイオケミカルを同時に製造することにより、脱炭素化への寄与のみならず、経済合理性との両立を図る。新潟県胎内市および胎内市農業協同組合(JA胎内市)の協力のもと技術開発や用途開発に取り組む新しい地産地消の脱炭素化事業モデルとして、国内および世界への展開を目指す。
世界で年間1億トン以上、日本国内だけでも約200万トン排出されているお米のもみ殻は、焼却時に発生する煙や悪臭のため焼却処分が禁止されている地域も多く、近年さまざまな活用法も提案されているが、未だに一般廃棄物として大量に排出されており、野外焼却や河川投棄が環境汚染の原因にもなっている。
今回の実証実験は、以下の技術開発および用途開発を胎内市で行う。
1)胎内市で発生するもみ殻を回収、熱分解し、もみ殻炭を製造する炭化技術の開発
2)もみ殻炭から抽出した「もみ殻シリカ」を環境に配慮した高付加価値原料として用途開発
3)もみ殻炭からシリカ抽出後のバイオ炭製造プロセスの開発、さらに「もみ殻活性炭」の製造技術および用途開発
4)もみ殻炭製造時に発生するオフガスの再生可能エネルギーとしての活用技術開発
これらを総合的に進めることで、脱炭素化と経済合理性が両立する事業モデルの構築を目指すものであり、この度、本取り組みの意義が高く評価され、CO2排出量大幅削減および地域活性化の同時達成を推進する事業を助成する、環境省の令和5年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(二次公募)」に採択された。
なお、3)の「もみ殻活性炭」の製造にあたっては、もみ殻由来の多孔質カーボン素材「トリポーラス」の事業を推進するソニーと連携し、製造技術の確立および用途開発を行う。
実証実験にて、低CO2のバイオケミカルの製造プロセスおよびオフガスのエネルギーとしての活用技術を確立し、また、環境に配慮した高付加価値バイオケミカル製品の市場が形成され、経済的な合理性も認められれば、2026年に胎内市のもみ殻500トンを活用した事業を開始、2030年頃の国内他地域および海外への事業展開を目指す。住友商事は、総合商社として培ってきた、さまざまな領域での事業実績、中でもシリカをはじめとする各種無機材料関連事業の知見やオフガスの開発実績を活かし、事業化後は、バイオケミカル製品のマーケティングおよびトレーディングを担う。特に環境意識が高い化粧品業界へのもみ殻シリカの普及に向けては、社内の化粧品原料事業とも協業して、国内外のブランドメーカーへ展開していく考えだ。
詳しくは、→https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/topics/2023/group/20231018 関係情報(G&Bレポート・富山県射水市「もみ殻循環プロジェクト)→https://greenproduction.co.jp/archives/288