研究情報

味の素、シルクタンパク質を活用したペット向けヘルスケア事業展開のNEXT NEW WORLDに出資(2026.6)

 2026年6月22日、味の素㈱はこの度、シルク由来機能性素材の研究開発および応用製品展開とペット向けヘルスケア事業を行う㈱NEXT NEW WORLD(群馬県桐生市、NNW社)への出資を実施したと発表した。本出資は同社のコーポレートベンチャーキャピタル、Ajinomoto Group Venturesによるスタートアップ投資案件の一環であり、本件を通じて、アミノサイエンスを基盤とした機能性素材事業の拡張と、新規用途領域への展開を検討していく。

 近年、国内外においてウェルネス志向の高まりとともに、ペットを含むライフスタイル全体での健康価値への関心が拡大している。特にペット分野においては生体販売や動物用医薬品市場、その他ペット関連サービス市場などから形成される国内ビジネスの2023年の市場規模は1兆5,700億円となっており、この中でフード市場は約4,647億円(2023年度比 107.6%; 2026年度見込み)と規模・成長性ともに高く、ペットサプリ市場も約106億円(2023年度比 114.0%; 2026年度見込み)の成長領域として伸長を続けている(出典:富士経済「2024年ペット関連市場マーケティング総覧」より抜粋・編集)。また同分野ではペット高齢化の進展に伴い、腎疾患などの慢性疾患に対する日常的なケアニーズが顕在化している。一方で、従来のフードや一般的なサプリメントでは、機能性と嗜好性を両立したソリューションの提供が十分ではない点が課題となっている。

 NNW社は、シルク由来の機能性タンパク質を活用し、吸着機能を有する素材開発および製品展開を進めており、日常的なケアによるQOL(quality of life、生活の質)向上を志向したアプローチの採用により、飼い主・ペット双方の負担軽減に寄与している。また同社が動物病院・専門チャネルを起点とした独自の市場開拓力を強みとしていることや、獣医療による治療ではカバーしきれない予防・補完領域において、フード・栄養による健康寿命延伸への貢献を目指している点、さらに同社が持つ素材技術と事業展開力に着目し、当社は今回の出資に至った。

 NNW社は、同社がシルクタンパク質の高次構造を維持したまま液体化する製法を用いて生産した素材「カラダシルク」を、ナノレベルの多孔質構造を保持した機能性素材として安定供給できる点を特色としている。一般的な加水分解シルクでは分子構造が破壊されることで吸着機能が失われるのに対し、本製法では多孔質構造を保持することで、アンモニアやコレステロールを吸着する特性を有している。

 味の素はこれまで、アミノサイエンスを基盤とした食品・ヘルスケア領域において、機能性素材の開発・提供を通じた価値創出に取り組んできた。従来はアミノ酸を中心とした機能性素材開発を進めてきたが、本出資により、タンパク質構造由来の物性機能を活用した新たな素材領域への検討が可能となる。今後は、NNW社との協業を通じて、事業連携の可能性を検討し、同社事業とのシナジー最大化を図り、持続的な成長機会の創出につなげていく方針である。

詳しくは、→https://news.ajinomoto.co.jp/2026/06/20260622-01.html

2026-06-26 | Posted in 研究情報 |