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独・バイロイト大学の研究者、グリーン水素生成へ光触媒利用の新たな道を発見(2025.11)

 ドイツのバイロイト大学を率いる国際研究チームは、追加の試薬を使用せずに海水から直接グリーン水素を製造する革新的な方法を開発した。研究者たちは、この画期的な研究成果を権威ある米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)に発表した。

 排出ガスのないエネルギーキャリアであるグリーン水素は、輸送、産業、エネルギー生産などの分野の脱炭素化に不可欠であり、需要が急速に高まっている。太陽光を利用し、製造過程で追加の試薬を消費することなく海水からグリーン水素を製造することは、特に持続可能で環境に優しい大規模水素製造への道を提供する。このアプローチは、運用コストと化学廃棄物を削減するだけでなく、カーボンフリーの水素経済への道を開く。

 化石燃料から生成される従来の水素とは異なり、グリーン水素は二酸化炭素を排出せずに生成される。一般的な方法は電気分解で、クリーンな電力を用いて水を水素と酸素に分解する。しかし、電気分解による水素生成には大量の電力が必要である。有望かつ資源効率の高い方法として、電気の代わりに太陽光を用いて水を分解する、いわゆる光触媒プロセスが提案されている。このプロセスでは、太陽光を吸収し、水の分解に必要なエネルギーを供給する光活性材料(光触媒)を使用する。しかし、光触媒を広く利用するための方法はまだ開発段階にある。バイロイト大学有機化学第一学科長のShoubhik Das氏と彼の国際チームは、海水から直接クリーンな水素を生成するための光触媒の開発に成功した。

「私たちの研究により、犠牲試薬や助触媒を一切使用せずに、太陽光下で直接海水を分解できる初のニッケル光触媒が開発された。この触媒は、これまで研究されてきたほとんどの単一成分系を上回る水素生成速度を達成している」とShoubhik Das氏は述べている。さらに、この光触媒は海水中に大量に含まれる塩化物に対して耐腐食性があり、海水中の他の成分に対しても無反応である。

 この革新的な光触媒の開発は、持続可能なエネルギーの未来への道筋を大きく前進させるものであり、太陽光の下で海水から直接水素をクリーンに生成することは、持続可能な炭素フリーのエネルギーシステムへの移行に貢献し、化石燃料への依存を減らすことになる。

詳しくは、→https://www.uni-bayreuth.de/pressemitteilung/gruener-wasserstoff

2025-11-20 | Posted in ニュース情報/政策関連 |