トピックス,マテリアル他編

日本製紙・東亜道路工業、木質由来リグニン利用の常温アスファルト混合物用乳剤を共同開発(2025.2)

 東亜道路工業㈱と日本製紙㈱は、日本製紙の特殊変性リグニン製品「StarLigno(スターリグノ)」を採用した「常温アスファルト混合物用乳剤」を共同開発したと発表した。本製品は、常温アスファルト乳剤混合物でありながら一般道路に適用できるのが特長で実用化は国内初。

 従来から、道路工事では耐久性や施工性が高い加熱アスファルト混合物が舗装材料として使用されていた。しかし、加熱アスファルト混合物は約180度の高温で加熱溶融したアスファルトを凝固させないよう高温状態を維持したままで製造・施工する必要があり、省力化、コスト削減や低炭素化実現のため、加熱しない常温アスファルト混合物への転換が検討されていた。

 常温アスファルト乳剤混合物は、アスファルト乳剤などを結合剤として使用することで製造・輸送・施工時の加熱工程が不要となり、通常の加熱アスファルト混合物に比べCO2の発生量を大幅に低減できる技術として期待されている。また、近年の酷暑時における舗設時の作業環境改善に寄与する。

 その一方、従来の常温アスファルト乳剤混合物は、乳剤の安定性や保管時の管理が難しいことに加え、施工後の強度発現に時間を要する等の課題があることから、補修や簡易舗装等にしか使用されていなかった。

 この課題に対し、東亜道路工業は日本製紙が新規に開発した特殊変性リグニン「StarLigno(スターリグノ)」を採用することで、加熱アスファルト混合物と遜色のない常温アスファルト乳剤混合物を製造する「常温アスファルト混合物用乳剤」の開発に成功した。

 今後の活用用途としては、加熱設備のある製造装置や施工時の加熱作業の必要がないため、インフラの整っていない国外の島嶼部や未舗装地域などで、また被災等によって現地インフラが機能しない災害復旧時にも適応が可能だ。

詳しくは、→https://www.nipponpapergroup.com/news/year/2025/news250206005822.html

2025-02-19 | Posted in トピックス, マテリアル他編 |