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東洋紡、工業用途向け二軸延伸PLA(100%植物由来)フィルムを新開発(2024.10)
東洋紡㈱は、100%植物由来のポリ乳酸(PLA)樹脂を原料とする環境配慮型の二軸延伸フィルムを開発したと発表した。本フィルムは、同社独自の製膜技術により、工業用途に求められる耐熱性や機械特性を実現するとともに、高い透明性と表面特性を有するのが特長。今後、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの代替素材として、光学フィルムや電子機器部材、離型フィルム用基材向けに展開を進めていく。本フィルムの試作品は、10月29日(火)~31日(木)まで第4回サステナブルマテリアル展の同社ブースで初公開する。
ポリ乳酸は、トウモロコシなどの植物から生産される生分解性樹脂の一種。廃棄時の環境負荷が低いことや、原料となる植物の生育過程で光合成の働きによりCO2の排出量削減に貢献することから、これまでサステナブルな素材として食品容器・フィルムなどの包装材用途を中心にさまざまな製品に使用されてきた。一般に透明性に優れるポリ乳酸樹脂は、液晶ディスプレー用光学フィルムなど工業用途への展開も期待されてきたが、耐熱性が低いため高温下で強度や剛性を得るのが難しく、通常の製膜条件下では本来の透明性が損なわれることや、工業用途での各種加工時の熱や応力が加わることで寸法変化や割れなどが生じやすいことが課題だった。
同社がこのほど開発したのは、独自の製膜技術による二軸延伸処理を施すことにより、工業用途に求められる耐熱性や機械特性を備えたポリ乳酸フィルム。延伸加工時の条件を精密に制御するとともに、同社が光学用PETフィルムの研究開発で長年培ってきた技術を応用し、フィルム内部に粒子を含まない手法を採用することで透明性の高いポリ乳酸フィルムを実現した。また、コーティング処理によって平滑性や接着性などのさまざまな特性を持たせることもでき、フィルムの巻き取りやすさや他素材との貼り合わせやすさ、表面処理剤の塗布しやすさなどにつながり、工業用途での幅広い加工処理に対応できる。同社は今後、従来の包装材向けはもとより、これまで機器内部に含まれることなどから分離・リサイクルが困難だった工業用途向けの展開に注力していく考えだ。
詳しくは、→https://www.toyobo.co.jp/news/2024/release_1673.html