研究情報
NEDOとスギノマシン、少量CNFを添加した炭素繊維強化プラの中間材料開発。性能向上実現(2023.9)
NEDOの「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発」で、㈱スギノマシンは、セルロースナノファイバー(CNF)製造の大幅なコスト削減を目指し、高コスト化の原因となっているプロセスの飛躍的な改良に取り組んでいる。今回、少量の自社製CNFをエポキシ樹脂に均一に分散・添加させたプラスチックをシート状に複合化し、そのプラスチックを含浸(がんしん)させた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の中間材料(プリプレグ)を開発した。
これを成形材料としたCFRP(CNF添加CFRP)は、CNF未添加のCFRPと比べて曲げ強度や衝撃強度が約20%向上となったほか、疲労寿命が約19倍、振動減衰率が約17%、界面せん断強度が約45%の向上を実現した。CNFの添加量が少量で済むことから、コストを抑えながら性能を高めることが可能となった。今後、テニスラケットやゴルフシャフト、釣り竿、自転車フレームなど、幅広いスポーツ用途への使用が期待できる。
植物素材であるCNFは、自然界に存在する再生可能な資源であり、軽量・高強度・高弾性・低熱膨張率・透明性という特徴がある高性能素材として注目されている。
㈱スギノマシンと富山県立大学は、「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」で、互いの技術的な知見を基に「環境配慮型低コスト疎水化セルロースナノファイバーの開発」に取り組み、2017年度にはCNF乾燥粉末の開発に成功した。一方で実用化、社会実装までには、より一層の低コスト化、物性の向上、利用用途拡大などが求められており、スギノマシンは本事業の研究開発項目の一つとして、ウォータージェット技術を用いた革新的CNF製造プロセス技術の開発および乾燥技術の開発に実用化の促進を図る目的で取り組んでいる。
CNFを添加したCFRPプリプレグ
詳しくは、→https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101691.html