研究情報
京大、阪大研究G、バイオエタノールを電解効率100%燃焼。生体触媒で2段階カスケード反応(2023.6)
京都大学と大阪大学の共同研究グループは、酢酸菌由来のアルコール脱水素酵素(ADH)およびアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を用いた高出力かつ高効率な生物電気化学カスケード反応を実現した。
ADHとALDHは、酢酸菌の呼吸鎖電子伝達系を構成する酵素で、バイオエタノールをエネルギー変換することが可能な触媒。両酵素は、電極との直接的な電子移動ができるユニークな特徴を有しており、優れた物質-エネルギー変換(低い副反応リスク・高い電解効率)を実現できる。今回、クライオ電子顕微鏡観察や単粒子像解析を実施し、ADH、ALDHについて構造解析に成功した。また、本解析結果に基づき、最適な酵素-電極反応場をデザインし、同一反応場に両酵素を担持するコンセプトによって、エタノール→アセトアルデヒド→酢酸という2段階酸化反応を実現した。さらに、数理モデルに基づいて本カスケード反応効率を最適化し、電気エネルギーの獲得と酢酸の生産を同時に達成するバイオ燃料電池を構築した。本電池は、既報の10倍以上の出力に加え、エタノールから酢酸への変換における電解効率が100 ± 4%という卓越した性能を示した。本研究成果は、生体触媒を用いた新たなバイオエタノール利用技術として、波及効果が期待される。
詳しくは、→https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-06-02-0
2023-06-03 | Posted in 研究情報 |