研究情報
アルヌール、カギケノリの海洋養殖目指し、陸上育苗開始。山川町漁協・神戸大等と協力(2025.2)
㈱アルヌールは、鹿児島県の漁業協同組合である山川町漁業協同組合、神戸大学の川井浩史特命教授、新たに鹿児島県水産技術開発センターの協力のもと、鹿児島県にて海洋養殖用種糸の陸上育苗を開始したと発表した。
カギケノリは飼料に微量添加するだけで牛のげっぷに含まれるメタンガスの発生を抑制する効果があるとして注目を集めている海藻。しかしながら、全国の牛の飼料に添加することを目指すには天然のカギケノリを収穫するだけではまかなえない。そこで、アルヌールでは海と陸の両方でカギケノリの大量養殖技術の研究開発を行っている。
この度、アルヌールではこれまでの実験を踏まえて小さなカギケノリが付いた海洋養殖用の種糸の作製を行った。この種糸を鹿児島県へ運び、水槽の中に張って育苗実験を開始した。今後、カギケノリの生育を観察後、海へ移す。この実験結果をもとに最適な養殖条件の検証を行っていき、海洋養殖の段階的な規模の拡大を目指す。
●日本初のカギケノリの海洋養殖へ向けた4つのステップ
1.陸上人工採苗
糸にカギケノリの「種」をつける。アルヌールでは神戸大学川井先生のご助言のもと、確立したカギケノリの培養株を使って2通りの種糸作製方法を試験している。
2.陸上育苗
種糸についたカギケノリを陸上の水槽の中で大きくする。海洋に出しても微細藻類や環境変化に負けない強いカギケノリに育てる。
3.本育成
育苗が完了した種糸を海洋に出す。種糸を設置する地点の潮流や水深などがカギケノリの養殖にどう影響するのか試験する予定。
4.摘採
生育したカギケノリを収穫する。カギケノリは陸上にあげるとすぐに痛んでしまい有効成分が失われる可能性があるため、素早く効率的な収穫・保管方法の検討を行っている。
2025-02-20 | Posted in 研究情報 |