トピックス,エネルギー編

日立、グリーン水素発電システム:G-HESをBLUE FRONT SHIBAURAに導入。野村不動産、東大先端研等との連携活動(2025.3)

 野村不動産㈱は、東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)との「カーボンニュートラル技術拠点に関する連携」活動の一環として、「BLUE FRONT SHIBAURA」の外構部分であるGREEN WALKにおいて、㈱日立製作所設計施工の『グリーン水素発電システム : G-HES(Green Hydrogen Energy System)』を構築・導入したと発表した。
 なお、本プロジェクトは、野村不動産と東日本旅客鉄道㈱が共同で推進する国家戦略特別区域計画の特定事業で、浜松町ビルディングの建替事業である。

 「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、CO2の削減が大きく期待できる水素エネルギーの活用は、未来に向けた高いポテンシャルを持っている。国内のCO2総排出量のうち、約50%が都市の社会経済活動に由来して排出されており、都市におけるCO2削減問題の解決策を提示することは、日本全体におけるCO2削減の取り組みの中で重要な課題となっている。また、都市の低炭素化の促進に関する法律(略称 : エコまち法)においては、都市での低炭素化・エネルギー利用の合理化の普及に向けた「緑・エネルギーの面的管理・利用」が促進されており、都市部におけるカーボンニュートラルに対する取組と貢献には大きな期待が持たれている。
 本プロジェクトでの産学連携活動「カーボンニュートラル技術拠点」では、東大先端研・河野龍興教授及び先進的な技術を有する民間事業者と共に、都市部におけるカーボンニュートラルの実現をめざして、2021年より活動中だ。今般、東大先端研・河野研究室で開発中の「再生可能エネルギーを利用した水素エネルギーシステム」の技術を活用し、太陽光発電からの電力を100%利用して製造したグリーン水素により発電を行うエネルギーシステム(G-HES)を構築・導入した。
 東京の都心エリアに、このような完全自立型のグリーンな再エネ水素エネルギーシステムを導入した社会的意義は非常に大きいと認識しており、水素エネルギーを利用することができる新たな都市型モデルとして、今後の普及拡大が期待される。

 本システムの導入により、再生可能エネルギーを活用した水素EMS(Energy Management system)の構築を通して、都市部における地産地消型の再生可能エネルギーの活用を実現する。また、より多くの方々にグリーン水素の利活用シーンに触れていただく機会を創出し、加えて災害時のレジリエンス強化という都市部の固有課題へ対応する。これらの活動を通して、都市部におけるカーボンニュートラルの社会実装へ取り組む。
 具体的には、本プロジェクトの敷地内において、100%太陽光発電由来の電気により作られたグリーン水素で、外構照明や水景施設用ポンプ、共用コンセントへCO2フリーなグリーン電力を供給する。緑あふれる「BLUE FRONT SHIBAURA」という都心の立地で、来訪者が水素を生活にとって身近なエネルギーであると感じ、環境について考えるきっかけになることを期待している。さらに、本システムは、系統電力から独立した完全自立型のエネルギーシステムであることから、災害時においても自立運転可能であり、帰宅困難者に対する携帯電話の充電などに活用できる。

<本システムの概要>
 本システムは、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を「つくる」「ためる」「つかう」3つの機能で構成されている。最大の特徴は、電気エネルギーを水素エネルギーに変えて高い安全性・長期の持続性を確保して蓄えられること、電力系統に依存しない自立運転可能な電源システムであることである。本システムは水素製造装置(アニオン交換膜(AEM)型)9.6kW、水素吸蔵合金タンク100Nm3、燃料電池(プロトン交換膜(PEM)型)5kW、蓄電池で構成されている。
 また都心の限られたスペースに水素を貯める必要が有るため、小型で液体水素よりも容積が小さく水素を貯めることができる水素吸蔵合金タンクを採用した。水素吸蔵合金は水素を安全に貯蔵・放出することが可能な合金で、水素を貯蔵した状態でも爆発しない、燃えないという安全な材料(非危険物)である。充電・放電して繰り返し使えるニッケル水素電池(主にハイブリッド自動車に搭載)には、この水素吸蔵合金が使われている。
 なお、本システムの導入については、環境省が推進する令和5年度「脱炭素社会構築に向けた再エネ等由来水素活用推進事業」に採択されている。

詳しくは、→https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2025/03/0305.html

 

2025-03-30 | Posted in エネルギー編, トピックス |